宇宙空間の軍事戦略 4
ワシントンからは、衛星の打上げという科学上の明らかな業績の誇示以上に、ロシアのリードは政治的にも、威信という点からも米国にとって大きな汚点であるという意向が、声高に発せられました。
ホワイトハウスを頂点とした政治家の思いは明らかでした。
「この特別なショウを、一刻も早く実現させなくてはならない。」
けれども、宣伝戦におけるロシアの勝利に苦虫をかみ潰した人々にとっては、さらに悪い事態が待ち受けていました。
スプートニク1号の打上げ後間髪を入れずに、米国ではその独自の衛星打上げ計画を早める作業が急速に進められていました。
しかし、スプートニク1号は打上げ後3週間にわたって、ロシアのリードを誇るかのように、信号を断え間なく送り続け、そして沈黙しました。
スプートニク1号自体は宇宙空間を飛び続けていましたが、もはや信号は送られてこなくなったのです。
一方、フロリダ州ケープ・カナベラルに設けられた米国東部試射場における、合衆国海軍の宇宙計画の作業は、この間も突貫して進められていました。
ところが11月3日、ロシアが再度打上げを行ったのです。
カザフ共和国のチュラタムから、スプートニク2号が打上げられ、まるで嘲笑っているかのようなピッピッという電子音を、1週間にわたって米国全土で聞くことができました。