刺繍の素材「刺繍糸と地布」・・・その3
十三世紀からあと、模様のない絹ビロード地も用いられるようになると、ビロード地の上に薄い絹地、または、リネン地を置いて刺しやすくする方法もとりあげられました。
オープス・アングリカーヌムと呼ばれるイギリスの教会刺繍にこの種のものがよく見うけられます。
刺繍の地布に木綿を用いるようになったのは、近東とインドから大量の木綿が輸入されるようになった十八世紀からのことで、薄手の木綿地に極細のリネン糸で刺す白糸刺繍が人気を呼びました。
絹と木綿の交織は、十世紀エジプトのファティマ王朝時代のムルハムという刺繍にまず見られ、次いでヨーロッパでも、リネンと木綿の交織と共に用いられました。
刺繍糸のうち、毛糸と亜麻糸は紡いで用いられ、また、撚って用いられることもありまし。
領主や聖職者の権威をあらわすための豪華な刺繍には金銀糸が併用されましたが、これらは絹糸のしんに金銀箔を巻きつけてつくられました。